トラックスシザーズのこだわり

日本最高品位 = 世界最高水準

鋼材選定に始まり、刃先の仕上げ、ハンドルの長さに至るまで、 一丁一丁を世界最高水準の品質に造り上げる。 「切りやすさ」と「質感の違い」を追い求め、辿り着いたハサミ。 それは、余計なものが削ぎ落とされたシンプルなフォルム。 手にしたその日から、カットワークがさらに楽しくなる。 そんなハサミでありたいと願っています。

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POINT 1
BLADE/SHAPE

ハサミの刃は、ハサミの用途目的に応じて幅、厚みの他、刃形状(はまぐり刃、平刃、段刃、糸刃など) 刃線(直刃、笹刃、柳刃など)刃角度(鋭角刃、鈍角刃)返り刃処理具合の違いがあります。

POINT 2
裏スキ

裏スキは、刃内側のU字状の凹んだ部分。
裏スキのつくり方(角度、方向、深さ)とその精度は、刃のキレ味、切断力、持続力に大きく作用します。
トラックスシザーズでは、永年の経験に培われた、最適な裏スキ加工をNC工作機器を用いることで1/1000mm単位の精度管理しています。

POINT 3
WEIGHT/BALANCE

一般に刃及びハンドルの重みは安定感、パワー感を高めます。逆に軽さは操作性を高めます。
刃とハンドルの重さバランスも整える必要があります。

POINT 4
MATERIAL

鋼材の種類と質の違いは、ハサミの切れ味、刃の切れ持続性に大きく作用します。
(詳細は後述)

POINT 5
SCREW

ネジの構造は、開閉をスムーズにする為に高性能ベアリングを内蔵しています。
これにより、開閉をなめらかにすると共に、ハンドルに加えられた力を鋏の先端にまで伝えることが出来ます。

POINT 6
触 点

ハンドルに加えられた力は、ネジ隣の触点に伝わります。
ネジがハンドルからの力を一点で支えるのに対して、触点はその力を面で受け止め、“タメ”をつくります。この“タメ”が、軽く切れる疲れにくい鋏に必要とされます。
触点のつくり方(広さ・長さ)は、刃の切断力に大きく影響するため、裏スキと並んでハサミの重要部位となっています。

POINT 7
HANDLE

ハンドルはメガネ型とオフセット型(段違い)の2種に大別されます。
メガネ型は、開閉する力が刃先に効率的に伝わるので切れが軽く、セニングでは正刃と逆刃、両方の使用が可能となります。
立体3Dオフセット型は、人間工学に基づいて成形されているため、手に収まるフィット感の高さが得られ、手首、肘への負担を軽減する特徴が有ります。
30種以上の選べる八ンドルヴァリエーションに加え、手の大きさ、指サイズに合わせる加工も可能です。

鋼材について

鉄に一定量の炭素(C)を加えることで、刃物鋼の原材料である、鋼(はがね)となります。 この鋼(はがね)に、クロム(Cr)やニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、コバルト(Co)等をどのように加えるかによって、鋼(はがね)の特性が異なります。 ハサミに要求される鋼(はがね)の特性には、硬度、靭性(粘り柔らかさ)、耐摩耗性、耐腐食性の4大要素があります。 トラックスシザーズでは、この4大要素を高いレベルでクリアーした刃物鋼のみを厳選使用しています。 鋼材の違いは「切れ味」「刃のもち」の違いに現れてきます。 切りやすい、使い心地の良い鋏の製造は鋼材選定から始まります。

▶ ハサミに求められる 刃物鋼材 4大要素

・硬度

硬度が高い(=硬い)と髪の硬さに負けない強い刃となります。 その一方、硬すぎると刃がもろくなり わずかな衝撃で刃がこぼれたり、タタキ調整時に刃が折れる等のリスクが高まります。 硬度を高めると共に靭性を高めることで強くこぼれにくい刃となります。

・ 靭性(粘り強さ)

ハサミの刃には、ヒネリ、ソリなどの金属を曲げる加工や調整が必要となります。 加工や調整の際に、折れない、曲がりやすい、加工のしやすい鋼材がハサミの刃材として最適となります。 ハサミの刃鋼材は硬さと共に、適度な粘り柔らかさ(靭性)が必要とされます。

・耐摩耗性

美容ハサミは繰り返し髪を切ることから、髪の硬さ(=銅線とほぼ同じ)に負けることなく刃の切れが持続することが求められます。 髪の切断摩耗に対して非常に高い耐久性が必要とされます。

・耐腐食性

美容ハサミは、水、カラー剤、パーマ液などの薬剤に対して錆びないことが求められています。

▶ 熱処理の重要性

ハサミ使用する鋼材は、銅線なみの硬さをもつ髪(特に東洋人毛)に負けないような硬く強い性質が求められる一方、 刃の加工調整を容易にする鋼材の柔らかさ(粘り強い)も求められます。

【熱処理の重要性】 この相反する性質を両立させるため、刃物鋼材に『熱処理』が行われます。 熱処理には、目的の違いによって各種違いがあります。

焼き入れ
鋼材を高温に熱し、水や油を用いて冷却することで鋼を硬くする作用があります。
焼き鈍し
鋼を熱し大気中で冷やすことで鋼のひずみ歪みを取る作用があります。
焼き戻し
焼き入れ後、鋼を再加温してゆっくり冷やすことで鋼に粘り(靭性)を高める作用があります。
サブゼロ処理
焼き入れ後、液体窒素等で急冷、その後焼き戻しを繰り返すことで鋼の組織を変容させ整えることで耐摩耗性を高める作用があります。

一般に刃物鋼材は高温で熱せられた後に冷却されることで 金属成分組織が変容することが知られています。 この特質を利用して鋼材に熱処理を加えることで、初めて硬く粘りのあるハサミに適した特殊刃物鋼材が出来上がります。

この『熱処理』の難しさは、僅かな温度や加温時間の違いによって、大きく鋼材の性質が変容してしまうことがあげられます。 優れた刃物鋼材を作る為には熱処理の選択、精度管理が極めて重要となります。

▶ 鋼材

・コバルト合金鋼

ステンレス刃物鋼材に微量のコバルトを混ぜることにより、耐摩耗性、耐腐食性を格段に向上させた高級刃物鋼材。 コバルト含有量によりv1・v8・v10・CSをはじめ、非常に多くの種類が開発されてきました。 優れた耐摩耗性に加え、加工調整のしやすさ、コストパフォーマンスの良さ 鋼材特性の豊さから幅広くハサミ製造に用いられています。

・粉末粒子鋼(パウダーパイス)

コバルト合金鋼の硬度を超える高硬度金属、粉末粒子(パウダーハイス)鋼。 金属粒子を微細な粉末状にしてプレス圧力をかけ固め、焼きを加えて固める最新の冶金技術によって造られます。 従来のコバルトステンレス鋼に比べ、金属粒子が均一緻密に整うため、 驚異的な硬度、耐摩耗性を有した最高ランクの刃鋼材です。

・ステライト鋼

熱処理を加えず、コバルトを50%以上の含有した非鉄金属。 粉末粒子(パウダーハイス)鋼に劣らず驚異的な耐摩耗性、耐腐食性を有します。 その一方、鋼材は非常に柔らかいために、落下や衝撃によって簡単に刃が歪む、微妙なソリ、ヒネリをつくる加工や調整が極めて難しい、レアメタルのためコスト高など、難しい要素を抱えています。